自身の愛車はプリウス。モデルはZVW30型で2010年6月納車のSツーリング前期型です。実はこのプリウス、不運にも過去2回リコールの対象車となっています。1回目のリコールは2014年、「制御ソフトの問題」による不具合でした。2回目のリコールは2016年、「燃料蒸発ガス排出抑制装置」と「カーテンシールド用ガス封入式インフレータ」それぞれによる不具合でした。以下、それぞれのリコールについてご説明します。
2014年(1回目)のリコール
リコールの内容は「制御ソフトの問題」で、加速時などの高負荷走行時に昇圧回路の素子に想定外の熱応力が加わるといったものでした。
実際に起こりうる事例としては、当該素子が損傷し、警告灯が点灯、フェールセーフのモータ走行を余儀なくされるという症状です。また、最悪な場合には、素子損傷時に発生する電気ノイズでハイブリッドシステムが停止、走行不能となります。
症状を見る限り深刻な問題に思えますが、実際は制御ソフト問題なので、対策としてはソフトの修正のみで済みました。
詳細画像をトヨタ自動車株式会社公式ホームページより転載いたします。
2016年(2回目)のリコール
この年に発表されたリコールは2件ありました。1件目は「燃料蒸発ガス排出抑制装置」について。2件目は「カーテンシールド用ガス封入式インフレータ」についてです。
燃料蒸発ガス排出抑制装置について
リコールの内容は、蒸発ガス通路(樹脂製)の端部形状が不適切なため、使用課程で当該端部に亀裂が発生してしまう可能性があるというものです。
実際に起こりうる事例としては、長期間使用を続けると亀裂が貫通し、満タン時に燃料が漏れて、燃料臭がするという症状です。
対策としては燃料蒸発ガス排出抑制装置を対策品に交換します。
詳細画像をトヨタ自動車株式会社公式ホームページより転載いたします。
もう一方のカーテンシールド用ガス封入式インフレータについては、製造工程での異常処置が不適切なため、溶接部に微少亀裂が入ったものが車両に搭載された可能性があるというものです。
実際に起こりうる事例としては、駐車中の室温上昇に合わせて封入ガス圧も上昇し、溶接部が破断して、一部が車室内に飛び出すおそれがあるという症状です。
対策としては全車両飛出し防止用プロテクタの追加をします・・・。が、ここで、自分なりに少しだけ疑問に思うことがあります。それは、今回の対策は不具合の可能性がある部品そのものを交換する訳ではなく、あくまでプロテクタを追加するだけということです。いくら全ての部品に不具合がないといっても、結果としては不具合の可能性がある部品をそのままにしておくというのはいかがなものかと思ってしまいます。正常な部品まで交換してしまうとリコールの費用も莫大なものになってしまうというメーカーの事情があるように思えてなりません。
詳細画像をトヨタ自動車株式会社公式ホームページより転載いたします。
リコール対策後の形跡
さて、前置きが長くなってしまいました。実は今回の記事はリコールの件についてではありません。リコール対策をしてもらった後の事についてがメインとなります。いつもの事ながら、これといった内容では無くて誠に恐縮ですが、少し話を聞いてもらいたく記事にしました。
事の始まりは先日、お世話になっているディーラーさんで、6ヶ月点検のついでに2016年リコール該当箇所の対策も一緒にしてもらうことにしました。自身は性格上、他人に大切なものをいじられるのがとても嫌なタイプ。早速、愛車が帰ってきた後に作業の形跡を一通り点検しました。そうしたらあったのです。カーテンシールド用ガス封入式インフレータのプロテクタを取り付けた際と思われるのですが、まずはこちらをご覧ください。プリウスのBピラー(運転席側)です。
部品が相当にズレて設置されています(笑)。これは一体どういう事なんでしょう?皆さんは許せる範囲ですか?自身はがっかりしました。リコール対策をしていただけるのは大変ありがたいことですが、このような作業では・・・。とてもとてもこの状態で何年も乗り続けるのは気持ち的にも耐えられません。こうなったらもう、再びディーラーさんにお願いするのでは無く、自力で元の姿に戻すしかないと決心しました。正直不安を抱えながらも、いざ、部品を取り外し、作業を開始することにしました。
スカッフプレートの取り外し方
Bピラーを取り外すには、できる限り本体に傷をつけないよう、Bピラー前後のスカッフプレートを取り外して作業した方が無難です。(ここでの前後は運転席側と後部座席側のことをいいます。)
因みに、作業にあたってのワンポイントアドバイスが一つあります。それは、ゴム手袋をして作業すること。画像では手袋をしていませんが、実は自身、最初はゴム手袋をしないで作業をしていました。夢中で作業を進めるうちに、ふと気がつくと、そこには血が付着しているシートが見えるではありませんか。どうやら気がつかないうちに部品で手を切り、シートに付けていたようなのです。結果的にシートの血を落とす作業まで増えて二度手間となってしまいました。絶対とはいいませんが、ゴム手袋をした方が手に傷を負うこともなく、また、以外と部品を外す際にもゴムのおかげで滑らず楽に作業ができましたのでオススメです。
運転席側スカッフプレートの取り外し
最初に運転席側を取り外します。こちらの部品です。
取り外し方法は至って簡単です。部品はねじ止めされていないので、内側に指を入れて持ち上げるだけです。外す際に多少の力が必要となりますが、恐れないで作業を進めてみてください。ただ、予想外に力を入れすぎると部品を壊してしまう可能性も無くはありません。相反しますが、力の入れすぎにも注意しましょう。
スカッフプレートを取り外した状態です。
取り外した部品はこのようになっています。
裏側です。
部品は爪ではめ込まれているだけですので、簡単に取り外すことができます。
後部座席側スカッフプレートの取り外し
今度は後部座席側のスカッフプレートを取り外します。こちらの部品です。
取り外し方は運転席同様、内側に指を入れて持ち上げるだけです。
取り外しの際、ひとつ注意しなくてはいけない部分があります。それは後ろの湾曲した部分。一部の爪がスライド式ではめ込まれているため、運転席側にスカッフプレートをスライドさせなければ完全に外すことができません。
湾曲した部分を運転席側に引きます。
スカッフプレートを取り外した状態です。
ここの部品がスライド式ではめ込まれています。
取り外した部品はこのようになっています。
裏側です。赤丸の部分が先程の金属パーツにスライド式ではめ込まれています。
Bピラーパネル取り外し方
さて、運転席側と後部座席側のスカッフプレートの取り外しができました。それでは本題のBピラーの取り外しにかかりましょう。Bピラーは下部パネルと上部パネルの2枚で構成されており、両方を取り外します。
下部パネルの取り外し
こちらのパネルも爪ではめ込まれているだけですので、パネルを内側に引くだけで簡単に取り外すことができます。この場所はスペースが非常に狭いので、注意して作業を行ってください。
下部パネルを取り外すとこのようになっています。シートベルトの固定器具が見えます。
上部パネルの取り外し
下部パネルを取り外したら、今度は上部パネルの取り外しにかかります。上部パネルは1カ所ボルトで固定されています。
ボルトを外し、パネルを下に引っ張ると簡単に外れます。
上部パネルの裏側はこのようになっています。パネルは完全に取り外しはせず、半分宙に浮かせながら作業しました。
上部パネルの上側はこのようになっています。そうです。自身が今回の作業を決心するに至った、問題の箇所は正にここなのです。綺麗に差し込み直せば目的達成となります。
上部パネルの裏側です。1カ所クリップで固定されるように設計されています。
こちらはクリップを挿入する側の部分です。
参考までにシートベルトの固定器具です。このあたりは、パネルを外した当初は埃で一杯でした。
取り外した部品です。上部パネルは取り外しを行いませんでしたので下部パネルのみのご紹介です。
裏側です。部品はクリップと雨水進入防止のサイドモールで固定されるようになっています。
部品を綺麗に組み直して作業完了です。とてもスッキリしました。
まとめ
不安を抱えながらの作業開始となりましたが、無事に終えることができました。今の車はコスト削減の為か、部品は相当な割合でねじ止めはされていないようです。パネルを持ち上げたり、引っ張ったりすれば以外と簡単に外れたりもします。が、思い込みは事故にも繋がりますので、くれぐれも自己責任で慎重に作業をお願いしますね。パネル外しに不安を抱えている方は、お店に「パネル外し」専用の商品も置いてありますので、活用してみるのも良いかもしれません。